原爆ドーム
Atomic bomb dome
原爆ドーム(げんばくドーム、英: Atomic Bomb Dome)の名で知られる広島平和記念碑(ひろしまへいわきねんひ、英: Hiroshima Peace Memorial)は、日本の広島市に投下された原子爆弾の惨禍を今に伝える記念碑(被爆建造物)である。元は広島県物産陳列館として開館し、原爆投下当時は広島県産業奨励館と呼ばれていた。ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されており、「二度と同じような悲劇が起こらないように」との戒めや願いをこめて、特に負の世界遺産と呼ばれている。
明治後期の広島では、伝統工業のほか軍需に結びついた近代工業が発達し、特に明治37年(1904年)に起きた日露戦争を契機として、大量の軍需品の地元調達が行われたことなどによって、経済は活況を呈しました。このような経済的発展に伴い、国内での激しい市場競争に耐える製品の開発、品質向上、販路拡大等を図るための拠点づくりが求められていました。
原爆ドームのもとの建物は、チェコ人のヤン・レツルの設計により、大正4年(1915年)4月、広島県物産陳列館として竣工しました。
この建物は、一部鉄骨を使用した煉瓦造の建築で、石材とモルタルで外装が施されていました。全体は窓の多い3階建てで、正面中央部分は5階建ての階段室、その上に銅板の楕円形ドーム(長軸約11メートル、短軸約8メートル、高さ4メートル)が載せられていました。第1階は主に事務用、第2階及び第3階が陳列用に当てられました。庭園の広さは約500~600坪あり、樹木が植えられ、洋式庭園には八方から水を吐く噴水を備えた池、和風庭園には四阿(あずまや)も作られていました。建坪面積は310坪、陳列場は620坪でした。
そのころの広島は、都心部のほとんどは木造2階建ての建築であり、大胆なヨーロッパ風の建築デザインによる物産陳列館のような建物は非常に珍しく、その出現は市民にとって大変な驚きであり、川面に映える姿の美しさとあいまって、広島名所の一つに数えられました。
館の業務は県内の物産、他府県からの参考品の収集・陳列、商工業に関する調査及び相談、取引の紹介に関する図書・新聞・雑誌の閲覧、図案調製等でした。
同館は、産業奨励だけでなく、会場を提供することで博物館・美術館の役割も果たし、広島の文化振興の場として大きな役割を担っていました。
館の名称は、大正10年(1921年)に広島県立商品陳列所、さらに昭和8年(1933年)からは広島県産業奨励館と改称されています。
【世界遺産への登録】
・経緯
1992年(平成4年)に日本国政府が世界遺産条約を受諾したことを契機に、同年9月に広島市議会が「原爆ドームを国の世界遺産候補リストに登録するよう要望する」意見書を採択。市長は翌年1月に要望書を文化庁に提出した。全国的な署名運動も始まり、1994年に165万人分超の署名を添えた国会請願が衆議院・参議院両本会議で採択された。
1992年当初、日本国政府は「世界遺産への推薦には『その遺産が国内法(文化遺産であれば日本では文化財保護法)で保護されていること』が条件」であるとしており、「原爆ドームは歴史が浅く、文化財に指定できないため、推薦要件を満たさない」として原爆ドームの推薦には消極的であった(しかし日本国外では、アウシュヴィッツや、アパルトヘイトに反対する政治犯を収容したロベン島、ベルリンのモダニズム集合住宅群など、「歴史が浅く」ても、国内法によって保護された上で世界遺産に登録された例は複数あった)。
文化庁が消極的だった背景には、アメリカ合衆国や中華人民共和国・大韓民国を刺激したくないという政治的配慮が強く働いていたが、結果としてこれが署名運動の盛り上がりにつながり、上記のような多数の署名者を得ることになった。
1995年3月、文部省(当時)は文化財保護法に基づく史跡名勝天然記念物指定基準を改正し、同年6月に原爆ドームを国の史跡に指定した。これを受けて、日本国政府は同年9月に原爆ドームを世界遺産に推薦した。原爆ドームの登録審議は、1996年12月にメキシコのメリダ市で開催された世界遺産委員会会合において行われた。
このとき、アメリカ合衆国は原爆ドームの登録に強く反対し、調査報告書から「世界で初めて使用された核兵器」との文言を削除させた(アメリカ合衆国国内では「原子爆弾使用によって、100万人のアメリカ軍将兵を失うおそれのあるダウンフォール作戦(日本側の呼称は本土決戦)を回避できた」「投下はやむを得なかった」として原爆投下を肯定する意見が強い)。
また、中華人民共和国は「日本の戦争加害を否定する人々に利用されるおそれがある」として審議を棄権した[7]。審議の結果、原爆ドームは文化遺産として登録された。
・登録基準
この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。
(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
基準(6)のみの適用で登録されているのは例外的なケースだが、比較的歴史の浅い負の世界遺産にはしばしば見られる傾向である。
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観光スポット詳細
- 電話番号
- 082-242-7831(広島市)
- 住所
- 〒730-0051 広島県広島市中区大手町1−10
- 営業時間
- 平和記念資料館
・3月~7月 8:30~18:00
・8月 8:30~19:00
・8月5日・6日 8:30~20:00
・9月~11月 8:30~18:00
・12月~2月 8:30~17:00
(入館は閉館30分前まで)
- お休み
- 年末年始(12月29日から1月1日まで)
- 料金
- 入 館 料 : 大人50円 小人30円
- 最寄駅
- 路面電車:「原爆ドーム前駅」
- 交通アクセス
- 路面電車:広島駅から2番宮島口行き・2番西広島駅行き・6番江波行き「原爆ドーム前」下車(所要時間約20分)